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銀行取引のマメ知識

銀行預金の相続手続き

役職員が亡くなったとき、個人で持っていた銀行の預金をどうするかが問題となります。滅多にないことですが知っておくと良いでしょう。銀行などの金融機関は、死亡の事実を知るとその口座を凍結し、支払いが出来ないようにします。相続人が遺産をどのように引き継ぐか決まるまで遺産を守ろうとするためです。銀行が死亡の事実を知っていたのに相続人の一人が支払い手続きに来て預金を支払ってしまえば、後で銀行が他の相続人から訴えられることもあります。

一般的に相続の手続き(預金の払出や名義変更)で必要となるのは、1.銀行所定の手続依頼用紙、2.被相続人の除籍謄本、3.相続人全員の戸籍謄本、4.遺産分割協議書、5.相続人全員の印鑑証明書、などの書類です。銀行はこれらの書類がすべて整ったのを確認して手続きを行います。相続人が多数の場合はすべての書類を用意するのに日数を要することもあります。書類が整えば、現金で払出したり、口座の名義変更を行ったり、指定口座に振込んでもらうことができます。

用意する書類の中で重要なのが「遺産分割協議書」です。遺産には現預金以外にも不動産や車など様々なものがある場合が多いので、それらも含めて相続人で協議し、分割方法を記した「協議書」を作成します。また協議書には相続人の実印を押印します。書類の作成の仕方が分からない場合は行政書士などに依頼して作成してもらいます。手数料は書類の作成だけなら数万円ですが、相続人や相続財産の調査からしてもらうと数十万円になる場合があります。

なお上記の「遺産分割協議書」の作成は、遺言書のない場合に行います。遺言書がある場合には、その遺言に家庭裁判所の検認を受けた後、遺言執行者が遺言に基づいて遺産を分割します。その中で銀行預金についても遺言に基づいて分割されます。

預金を分割する際のそれまでの利息をどうするかも問題となります。本来、遺産分割協議書に利息についても書かれていれば良いのですが、解約してみないと利息額が分からない場合もあり、そこまでは協議されていないのが一般的です。その場合、改めて利息分に協議してもらうことはせず、預金分割の割合で利息分を按分する場合が多いようです。

以上のように今回は預金の相続手続きを見てきましたが、死亡した方が法人の代表者などで借入の保証人になっているような場合は、保証人の変更などさらに手続きが必要で、故人の不動産が借入の担保に入っている場合などはさらに複雑となります。このような場合については、次回以降あらためて見てみたいと思います。

(筆者:佐々木 恵一(39) ササキ財務経営研究所代表 中小企業診断士、証券アナリスト。略歴:金融機関、シンクタンク勤務を経て平成15年7月から開業、事務所は札幌市産業振興センター3階)