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札幌の元気企業

有限会社 長命庵(2012年3月取材)

代表取締役社長 森 清 氏

代表取締役社長 森 清 氏
〒064-0823
札幌市中央区北3条西28丁目2−1
TEL&FAX (011)641-9355
URL http://www.choumeian.com/(新しいウィンドウが開きます)
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薬膳そば 長命庵

安全・安心な料理を提供する店を目指して

「薬膳そば 長命庵」として知られるお蕎麦屋さんが札幌市中央区、地下鉄東西線の西28丁目駅を上がったサンビルの地下1階にある。(有)長命庵の森社長が昭和55年に開業した店だ。今年で32年になるが、後に述べる通り、生産者等との連携に忙しい中、片腕に育った息子さんと二人で切り回している。
この店の開業に当たっては、森社長のある強い決意があった。
森社長は語る「自分は蘭越町育ちで、中学生の時、学校からの帰り道、ヘリコプターを使った大量の農薬散布に出会い、翌日には川面に仰向けになった大量の魚が浮かんでいるのを目撃。沢山いた川のカジカやドジョウの姿がだんだん見られなくなってしまった。「生き物」が生きられないまでにした農薬への怒りを覚えた」と。こうした思いは、若き日に川で遊んだ経験のある方には共通の思いではなかろうか。
その後、札幌でそば職人として修行に入った森社長は、若き日の「農薬への拒否感」を胸の奥に収めて「いつの日か、自分の店を持つ。その時には、農薬や化学肥料を使わない素材を料理として提供しょう」との決意を持つに至ったのである。
森社長は、昭和55年8月独立して自分の店を開業したのだが、大きな壁にぶつかることになった。と言うのは準備していたとは言え農薬や化学肥料を使っていないそば原料を確保するのが簡単なことではなかったからである。
北海道は、国産そばの30%強を生産する国内最大の生産地であるが、実は当時農薬や化学肥料を使っていないそば栽培が少なく、一方国内で消費されるそばの80%は中国やアメリカからの輸入品であり、品質への信頼性が持てないものであった。
森社長は「これは大変なことだ。栽培から手掛けなければだめだ」と決意を新たにしたのである。

一次生産者との連携への道を開拓、そして「ダッタンそば」との出会いへ・・・

ダッタンそば

ダッタンそば

当然のことだが、そばを栽培すると言っても容易なことではない。産地の生産者を回って説得することから始まった。今でこそ無農薬の農産物への認識は高まっているが、当時の認識はまだ低い時代であり、森社長の使命感は燃え上がった。店の定休日を利用して道内のそば栽培地を回り協力してくれる生産者を探した。「寝る暇なく行動した。これはと思った生産者に信頼してもらえるまで何度も通って考えを話した。つらかったが、協力してもらえることになった時の喜びは、何物にも変えがたいものでした。」と森社長はしみじみと語る。今では、北空知エリアを中心に道内全体で数十件の生産者との契約栽培が行われ、森社長は販売も引受けている。契約栽培による生産量は年々増加し、今では数百トンになる。食の安全・安心への関心の高まりとともに農薬や化学肥料を使わない原料に対する需要は徐々に増え、道内のそば屋仲間への納入に加えて、本州向けにある大手商社の協力を得ることが出来、安定した販路も出来上がっている。
平成5年に入って、森社長には新たな出会いが待っていた。今までは所謂「普通そば」と言われる範疇の話で、上述のとおり販路も出来て一段落した頃であった。
それが、長命庵の冠に掲げることになる「薬膳」即ち「ダッタンそば」との出会いであった。週刊誌の記事であったが、なんと普通そばに比べて100倍ものルチンを含むそばがあることを知らされた。それが「ダッタンそば」であった。ルチンの効能は、そばに携わる人には良く知られたものである(*効能下記)。「ダッタンそば」に含まれるルチンの豊富さを知った森社長は以来、言わば「ダッタンそば」に魅入られ状態となり、その普及に東奔西走することになっていった。
早速、森社長は知人を通して種子を入手し、自身が札幌市内に確保していた畑で栽培を試みると共に栽培に協力してくれる生産者を募った。
また、「ダッタンそば」はルチンが多いことから加工の過程で苦味が出る。この苦味が食味の上ではマイナスと言われているが、森社長は独自にこの苦味を低減する製粉技術を考案し、食味の改善・向上にも工夫して来た。(店では、この技術を用いて自社製粉した麺を提供している)
国内のダッタンそば消費量は年間3、000トン程度と見られ、中国からの輸入が90%を占め国産は10%程度と言われている。その内、道内での生産は、現在30%程度に達していると見られる。生産者との連携を進めるに当たって、森社長は普通そばと同様に、戸別所得補償の対象とすることが必要と認識し、農水省への働きかけも行った。
その結果、平成23年度に対象として指定され、安定した生産への基盤が強化されている。
また、この間「北海道ダッタンそばの会」や「北海道ダッタンソバ生産者協議会」等を立上げ支援者及び生産者の組織化も進めて普及と品質の安定化にも取組んでいる。
*ルチンの効能について:①血管壁を強化・柔軟にし、脳溢血等を予防する。②血圧を降下させる。③血糖の上昇を抑制する。④抗酸化作用があり、糖尿病・心筋梗塞等を防ぐ等が言われている。

「ダッタンそば」を利用した製品開発へ

生産者との契約栽培により作られた「ダッタンそば」は、年々増加し今では100トン程度となっているが、全量森社長が引取っている。安定した生産を保障するためには、安定した販路が必要で有り、そのため原料として供給するだけでなくそば製品の開発に取組んできた。今では、そば粉、乾麺は固より焼酎、お茶、飴、煎餅、パウンドケーキ等々を開発、主に催事やネットで販売し、中でも「ダッタンそば茶」は売れ行きの良い製品となっている。農商工連携の先駆者とも言えるわけだが、悩みは製品化するための加工業者が道内に極めて少ない点にある。そばは、生憎アレルギー問題があるため、加工するのが難しいのである。麺、焼酎、煎餅以外は本州での加工となっており、お菓子・ケーキ類を道内で加工したいと希望している。「道内で協力してくれる加工業者がきっと現れるはず。それを待ちつつ普及に努めたい」と森社長は語る。更なる進展に注目したい。

蕎麦焼酎

韃靼そば 韃靼そば茶

【開発製品の一部】

企業データ
◆会社概要

創業/1980年(昭和55年)8月
設立/2004年(平成16年)1月
代表者/森 清
資本金/300万円
従業員/6人

◆沿革

1980年8月 現在地にて開店
2005年度  北海道知事認定 食づくり名人 登録
2010年4月 札幌市とさっぽろ食の安全・安心推進協定締結

◆所属(主催)する団体と役職

北海道ダッタンそばの会 筆頭副会長
北海道ダッタンソバ生産者協議会 代表
NPO法人北海道有機認証協会 理事
北海道産直加工生産者協議会  会長

◆主な取引先

シュレン国分㈱
住友商事北海道㈱
三菱食品㈱
(以上50音順)
道内、道外のそば店

◆主な仕入先

㈱ほろかない振興公社
道内生産者

(2012年3月取材)