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札幌の元気企業

株式会社岩根研究所(『札幌の技術2004年情報・バイオ編』掲載)

代表取締役 岩根 和郎 氏

〒064-0944
札幌市中央区円山西町7-8-3
TEL(011)643-0872 FAX(011)643-4182
URL http://www.iwane.com(新しいウィンドウが開きます)
代表取締役 岩根 和郎さん

代表取締役 岩根 和郎さん








映像による3D空間情報認識システムの研究・開発
 人工知能の実現を目指した近未来プロジェクトも推進

動画とGISを連動したビデオデータ検索システム

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 全国の国土交通省地方整備局や河川国道事務所の約7割で採用されている道路現況ビデオ検索システムがある。岩根研究所が開発した「ビデオデータ検索システム」である。このシステムに着手したのは1991年、「道路ビデオGISシステム」として建設省(現・国土交通省)関東技術事務所と共同で開発にあたり、共同特許も取得した。国道など幹線道路のビデオ画像と地図情報を連動させていることが最大の特長で、動画と地図が同じ画面に表示されるため、映った場所がどこか瞬時に把握できる。上り下りの進行方向映像はもちろん、空撮映像も完備。道路の維持管理を行なう事業所のデータベースとリンクして、工事履歴などのデータも簡単に取り出せる。国土交通省全体の情報化・ネットワーク化と並行して開発が進められたという経緯もあり、機能性や使い勝手の面でも完成度の高いシステムとなっている。同様の仕組みで鉄道の軌道管理、電気・ガス・水道などのライフライン管理、河川管理などの各種ビデオ検索システムのほか、観光ビデオとタウンマップを連動させた観光ビデオ検索システムも販売しており、同社の主力商品群となっている。

自動運転を可能にする人工知能の実現を目指して

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 現在、同社が力を注いでいるのは、人工知能による自動運転装置の実現を目指した基礎研究と中間商品群の開発である。コアとなるのは、360度撮影が可能なカメラと、その映像から3次元空間情報を計測する3D画像認識技術。360度カメラで撮影した周囲の景色をコンピュータが解析し、カメラの位置を算出するというシステムである。コンピュータは映像の中に「特徴点」と呼ばれる点を見つけ出し、その移動速度や方角などから特徴点とカメラとの相対的な位置関係を割り出す。特徴点は建物の外壁や電柱、街路樹、車道と歩道の境などに数十カ所抽出されるが、すべてコンピュータが自分で判断し特定している。この技術をベースにした商品として考えられているのが360度景観シミュレーションで、実写映像とCGを同時に表示しつつ、視点や方向を自在に変えられるシステムである。映画のSFXなどに使われる実写・CG合成は、あらかじめ実写映像に合わせてCGを描く。しかしこのシステムでは、コンピュータが周囲の景観からカメラ位置(視点)を認識し、実写映像に対応したCGを自動的に描画することができる。
 一方、人工知能へつながる技術としてPRM(Parts Reconstruction Method)の研究も進められている。PRMは「互いに異なった固有の体験を活用して情報のやり取りをする」という革新的な技術。同社では、テーブルに置かれたトランプのカードをカメラで撮影し、その画像からコンピュータが各カードの3次元空間情報を認識してバーチャル空間に再現するという実験に成功している。これは、屋外に設置したカメラから路上を走る車を撮影し、その車両の種類や形、色、スピードなどを分類・表示する装置に応用され、実用化を目指した開発が進められている。

【TOP INTERVIEW】
基本姿勢は映像を核とした空間認識・人工知能の研究・開発

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<<代表取締役 岩根 和郎さん>>
 私は、大学に勤務していた時代から人間の視覚と認識に関心を持ち、今日でも研究を続けています。これまでの開発実績も、その根底にあるのは「目に映る映像から周囲の情報を把握する」というメカニズムの解明です。当社はビデオ検索システムという主力商品で全国7割のシェアを確保していますが、あくまでも基本姿勢は研究・開発であり、人工知能の実現へ向けた開発姿勢は今後も変わることはありません。現在、研究を進めている3D画像認識と3D空間認識の二つの分野は、将来的には人工知能につながるものですが、その過程でさまざまな応用技術が誕生し、それぞれ独立した商品として世に送り出すことができると考えています。3D景観シミュレーションや車両認識・分類・表示装置などはその好例で、海外での事業展開も視野に入れています。今後は、より実用的で時代に合った商品を提供しながら、人工知能の実現という夢へ向けて、着実に前進していきたいと思います。

企業データ
会社概要

設立/昭和54年(1979年)4月
代表者/代表取締役 岩根 和郎
資本金/3,000万円
売上高/6億円(平成14年度)
従業員数/20名(平成15年11月現在)

事業内容

ビデオデータ検索システムの開発・販売、360度画像システム・3次元計測システムの開発、3D空間認識(PRM)システムの開発、景観シミュレーション装置の開発、人工知能による自動運転装置の研究・開発

(『札幌の技術2004年情報・バイオ編』掲載)