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札幌の元気企業

シロクマ・北海食品株式会社(『札幌の技術2005年ものづくり編』掲載)

代表取締役 荒川 伸夫 氏

〒003-0022
札幌市白石区南郷通20丁目南8-3
TEL(011)865-3521 FAX(011)865-2271
URL http://www.sirokuma.co.jp/(新しいウィンドウが開きます)
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札幌市西岡にある「れもんベーカリー」








コンセプトは「おいしさ・安全・地産地消」
 道産素材を使った製品づくりでパン文化の向上に取り組む

ホームベーカリースタイルで道内外に販売エリアを拡大

れもんベーカリーの店頭に並ぶ商品

れもんベーカリーの店頭に並ぶ商品

 同社は昭和22年(1947年)、先代の荒川芳郎氏が函館で製パン業を開業したのが始まり。昭和45年(1970年)、当時としては珍しい「てづくり焼きたてパン」の直営店展開を始め、ショッピングセンターのインストアベーカリーなどに出店した。昭和50年代にメインを卸しに切り換え、洋菓子や和菓子もアイテムに加えた事業展開を図る。現在は本社工場のほか、札幌市西岡、函館に工場を持ち、販売エリアは本州や九州にも広がっている。
 平成元年(1989年)、菓子専門店「れもんや」を開店。平成4年(1992年)から道産小麦ハルユタカを使ったパン製造を始め、平成9年(1997 年)、札幌市西岡に地麦パン工房「れもんベーカリー」をオープン。同店では道内産の小麦とライ麦だけを使用し、天然酵母で発酵させたパンを製造・販売している。同時に卸部門でも道外への道産小麦パンの販売を開始した。

道産小麦でのパンづくりにいち早く取り組む

 これまで国内産の小麦はパンづくりに向かないとされてきた。輸入小麦に比べてコストが高く、品種ごとに粉の特性も異なるため、均一な製品を大量生産するのが難しいのである。特に道内産小麦は粘りが強い、生地がベタつくなどの理由から敬遠されがちであった。しかし、昨今は食の安全・安心に対する関心が高まっていることに加え、「地産地消」「スローフード」といった言葉も浸透し、素材や味にこだわった付加価値の高いパンが注目されている。地元の素材を活かした製品づくりにいち早く取り組んできた同社では、小麦粉の配合や給水などを工夫し、試行錯誤を繰り返しながら、道産小麦パンの製造技術とノウハウの蓄積に努めてきた。現在ではハルユタカのほかホクシン、春よ恋、ホロシリなど数種類の道産小麦をブレンドし、作柄や品質などに合わせて微調整を行ないながら、味や歯ごたえに個性のある道産小麦パンを作り出している。
 また、道産小麦は粘りが強いため一般的な製パン用機械が使用できず、当初は分割・成形などの工程をすべて手作業で行なっていたが、平成14年(2002年)、粘りのある生地でも使用可能な製パン機を導入し省力化・量産化を実現した。


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     ▲本社工場での作業風景            ▲本社工場で次々と焼き上げられるパン

地麦のおいしさを広め、国内自給率の向上に貢献

卸向けに製造されている天然酵母パン

卸向けに製造されている天然酵母パン

 代表取締役の荒川伸夫氏は、道産小麦にこだわる理由について「おいしさ、地産地消、国内自給率の向上」の3つを挙げている。「道産小麦と天然酵母を使ったパンは小麦の味わいと豊かな香りが一番の魅力。そのおいしさを一人でも多くの人に知ってもらい、北海道に新しいパン文化を根づかせたい」と語る。また、小麦農家の主婦を招いてパン教室を開くなど、生産者と消費者の交流を深める活動も積極的に行っている。「自分たちの作った小麦でパンを焼いて食べる。それが地産地消の促進につながるはず」と荒川氏。さらに、地元産の素材を使った地方色豊かな「ご当地パン」が全国各地に誕生すれば、食料の国内自給率の向上にも貢献できるのではないかと期待している。このほか同社では、小麦以外にも道産米の米粉を使った「おにぎりパン」など、ユニークな新製品を開発し、新たな可能性にチャレンジし続けている。

【技術者 INTERVIEW】
デリケートな素材だからこそ個性が光る道産素材を活かした製品づくりに取り組んでいます

mono05-i<<常務取締役 製造部長 川中 龍雄さん 昭和52年入社>>
 「パンづくりに向かない」と言われてきた道産小麦ですが、実は豊かな小麦の味が楽しめる良質な素材です。デリケートな性質なので、生地づくりや発酵、焼き方などに細かく気を配らなければならず、粉の性質によって配合や給水に微妙な調整が必要です。完全なレシピなどなく、毎日が試行錯誤の連続なのです。その分うまくでき上がったときの味は格別ですね。手間暇のかかる製品ですが、他にはない個性と魅力を大切にしたいと思っています。
 パン職人にとって、パンは自分自身を映す鏡のようなものです。未熟な腕では未熟なパンしかつくれません。気を抜いて作れば気の抜けたようなパンになってしまう。これはパン職人に限らず、すべての技術者に共通することだと思います。今の自分の姿がそのまま反映され、カタチになる。ごまかしのきかない世界ですが、そこが面白さでもあると思います。

企業データ
会社概要

設立/昭和43年(1968年)7月
代表者/代表取締役 荒川 伸夫
資本金/5,600万円
売上高/4億9,500万円(平成16年2月期)
従業員数/70名(平成16年10月現在、パート含む)

事業内容

パン・和菓子・洋菓子の製造販売

(『札幌の技術2005年ものづくり編』掲載)