ホーム > 札幌の元気企業 > 50音別索引

札幌の元気企業

日本清酒株式会社(『札幌の技術2005年ものづくり編』掲載)

取締役社長 白髪 良一 氏

〒060-0053
札幌市中央区南3条東5丁目2番地
TEL(011)221-7106 FAX(011)207-6026
URL http://www.nipponseishu.co.jp(新しいウィンドウが開きます)
本社屋向かいに建つ千歳鶴酒ミュージアム。造り酒屋のシンボル、杉玉が目印

本社屋向かいに建つ千歳鶴酒ミュージアム。造り酒屋のシンボル、杉玉が目印








ナショナルブランドから地域ブランドへの転換で
   地酒「千歳鶴」の顔づくりに注力した清酒製造へ

創業130余年。発酵商品を事業の柱に躍進

「北海道の地酒」と銘打ったシリーズと「雪原の舞」。いずれも同社の主力商品

「北海道の地酒」と銘打ったシリーズと「雪原の舞」。いずれも同社の主力商品

 「千歳鶴」ブランドで有名な日本清酒(株)は、札幌市の中心街にある二条市場の東側、豊平川沿いに、工場も併せて立地している酒造メーカーだ。
 創業は明治5年(1872年)であり、長い歴史を有する。明治、大正の時代を経て昭和3年(1928年)までに、周辺で商っていた同業の酒造業者との吸収合併を繰り返して、「日本清酒」を設立した。この時、同時に合同した他の企業が行っていた味噌の製造も引き継ぎ、こちらも現在に至っている。
 昭和34年(1959年)には、同社の設立30周年を記念し、当時としては国内最大規模をもつ酒造工場「丹頂蔵」を竣工して話題になった。
 さらに清酒醸造とともにワイン醸造の研究を重ねてきた同社は、昭和49年(1974年)に余市町に「余市ワイン」工場も竣工。本格的にワインの醸造を手がけ、昭和52年(1977年)から販売をスタートさせた。
 このような歴史的経緯のもと、清酒は本社札幌工場、味噌は西区・琴似の工場、ワインは余市町でと、同社の3つの商品が拠点工場で生産され続け、年間生産量は、日本酒2000kl、ワイン120kl、味噌は3000tを誇る。

地域の原料を使って品質のよい酒づくりを実現

蔵の中にある仕込みタンク。11月の仕込みが始まるとここもフル稼働する

蔵の中にある仕込みタンク。11月の仕込みが始まるとここもフル稼働する

 同社の主力商品である清酒は、日本の伝統産業であり、品質の決め手となる条件は、良い水、良い米、良い杜氏が確保できるかにかかっている。このうちの「良い水」が、同社が札幌の中心地に工場を持ち続けている理由だ。
 「この場所は、札幌南部の山々に端を発する豊平川の伏流水が豊富に汲み取れるところ。地中で自然の濾過が行われた清らかな中硬水は、適度なミネラル分が麹菌や酵母の増殖を促進するなどの作用があり清酒造りに最適。この水があるために、千歳鶴の工場はこの場所にあり続けているのです」と岩井直樹広報室長は話す。
 「良い米」については、平成6年(1994年)から、それまでのナショナルブランドとしての「千歳鶴」販売戦略から、北海道、札幌を意識した地域ブランドとしての商品化を意識。国内にあった事業拠点の見直しなどの事業戦略を通して、原料米も北海道産を積極的に使用して地域色を出していく方向となった。これらを推し進めた背景には、市場で北海道米の品質に対する好意的な認識が広がり定着してきたこと、なにより清酒醸造用の良い道産米の品種ができてきたことなどの諸条件が挙げられる。北海道の「良い米」を主に使用することで、地域に密着した酒造りを探求し続けてきた同社のブランディング戦略は、停滞気味の清酒業界にあっても、着実に固定ファン層を維持し、札幌発の伝統産業のプライドを守っている。
 そして「良い杜氏」は、現在5代目杜氏の佐藤和幸さんが工場全般の製造責任を担っている。現代の杜氏は、昔ながらの酒造りの知恵を客観的な知識に変換し生産過程に組み込むことが求められる。帯広畜産大学を卒業した佐藤さんは、微生物などの専門知識と日本酒造りの伝統を融合し、地域ブランドとしての「千歳鶴」造りに精魂を込めている。

酒と文化をテーマにミュージアムも開設

 現在同社が販売している清酒銘柄は、純米大吟醸から普通酒までおよそ70種類で、ほとんどが通年商品である。容量は、180mlのワンカップから 1.8Lの一升瓶・紙パックタイプまで多彩(こも樽、角樽除く)。このうちリサイクルシステムが確立していない300ml容器を手始めに、日本で初めてエコマークを取得し、リサイクル可能な企業システムを確立しようとしている。今後はこのシステムをうまく循環させる仕組みを随時検討し、21世紀企業として必要な環境への取り組みも進めていく予定だという。
 また、同社の主な商品は、平成14年(2002年)に開館した「千歳鶴酒ミュージアム」で販売している。この施設は「酒と文化」をテーマにしており、日本酒やワイン、味噌が売られている陳列棚のほかに試飲コーナーや資料コーナーが設けられていて、同社の歴史や商品を知ることができるようになっている。
 酒造りの伝統と日本の文化を守りつつ、21世紀に対応する企業経営を着実に進める同社の取り組みに今後とも期待したい。

【技術者 INTERVIEW】
材料、製造環境、人手など、すべての条件を整えて千歳鶴の味を守り続けることが使命です

mono08-i

<<杜氏兼工場長 佐藤 和幸さん 昭和51年入社>>
 千歳鶴は長い間道内外のお客さまに愛されている清酒です。この信頼と品質を高いレベルで維持し続けることが私に課せられた使命となっています。
 昔ながらの杜氏の酒造りの知恵は、道具づくりからさまざまな項目に至っていますが、これらを企業運営の仕組みの中に合理的にシステム化していくことが我々現代の杜氏に求められていますね。その上で、人間の熟練の技が必要なところでは精力を注ぎ込み、千歳鶴の味を守っていきたいと思っています。
 そのために気をつけているのは工場全体の管理です。酒造りが始まると24時間体制で工場が動き出しますが、働く人びとの健康管理や工場内の衛生管理など、気を抜くことは許されません。
 今後とも地酒としての千歳鶴の味を愛して下さっているたくさんのお客様に対して、信頼を裏切らない酒造りを心がけていきたいと思っております。

企業データ
会社概要

設立/昭和3年(1928年)4月
代表者/取締役社長 白髪 良一
資本金/5億9,300万円
従業員数/130名(パート含む)

事業内容

清酒、ワイン、味噌の製造

(『札幌の技術2005年ものづくり編』掲載)