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札幌の元気企業

石田製本株式会社(『札幌の技術2005年ものづくり編』掲載)

代表取締役 石田 誠 氏

〒063-0836
札幌市西区発寒16条14丁目3番31号
TEL(011)661-5670 FAX(011)661-5461
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昭和56年に建てられた社屋・工場外観。このすぐそばに第二工場がある

昭和56年に建てられた社屋・工場外観。このすぐそばに第二工場がある








製本を手掛けて70年「上製本」のラインを整え
 郷土史、社史、医学書などあらゆる製本ニーズに対応

昭和11年に創業 帳簿の製本業務で実績を育む

事務所入口に同社で製本した書籍類がずらりと並ぶ。写真はそのごく一部

事務所入口に同社で製本した書籍類がずらりと並ぶ。写真はそのごく一部

 石田製本所の歴史は古く、昭和11年(1936年)に札幌(現在の中央区)にて創業した。書籍や雑誌があふれる現在とは全く違い、当時の北海道では製本の需要はごく限られたものだった。当初、同社で行っていたのは、主に官庁で使う帳簿類の製本業務である。今では出納などの重要書類はコンピュータにデータ化して記録保存するのが一般的である。しかし昔は、後々まで保存する帳簿類は大変重要視されており、革張り、金文字の立派な装丁だったという。
 その帳簿の製本業務を中心に事業を少しずつ軌道に乗せ、活字文化の発展に歩調を合わせて書籍や雑誌、ダイアリーなど営業品目を拡大していった。そして昭和56年(1981年)に工場・事務所を現在地に移転。業務の拡張に対応して、平成元年(1989年)、近接地に第2工場を建設した。

道内で唯一「上製本」のラインを完備

 製本にはさまざまな手法があるが、大きく「上製本」と「並製本」に分けられる。上製本とは単行本などのいわゆるハードカバーの書籍類。並製本とは雑誌や文庫本などソフトカバーのものを指す。同社の特色は、北海道では需要の少ない上製本を積極的に手がけていること。製本業者は道内に30社ほどあるが、ライン化された上製本設備を有しているのは同社のみである。
 主だった出版社のない北海道では、市町村などの郷土史、組合などの記念誌、企業年鑑や社史、自費出版の個人誌、新聞社の刊行物など、上製本化する出版物はごく限られたものである。同社ではこれらの出版物を長年に渡って手がけているが、これらは発行部数が数百~数千と少ないため、十数年前までは手作業の工程を大幅に含む生産体制だった。だが、業務を拡大するには本州出版社からの大量発注にも対応できる設備が必要と、数年前から上製本生産ラインの整備・拡充を段階的に進めてきた。
 そして平成15年(2003年)、2千ページを超える医薬の専門書を、かつてない大掛かりな規模で発行したいという依頼があり、それに合わせて上製本ラインをさらにバージョンアップ。従来の機械の2.5倍のスピードで折り丁の糸かがりを行うコンピュータ制御の糸綴機なども装備した。一部の規格外の本は手作業で対応しているが、それ以外は表紙カバー掛け、クラフト包装、シオリの紐付け、出来上がった本の結束などもすべて全自動化。高速・量産の上製本設備を整えている。
 もちろん、並製本業務にも広く対応しており、並製本ライン(雑誌ライン)もフルオートメーション化を図っている。


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▲さまざまなライン工程を経て製本化された          ▲「並製本」ラインの終盤工程           
 「上製本」の出来具合を、スタッフが入念にチェック      ここでもスタッフが品質を厳重に管理         

さらに大きな信頼を得るために全社一丸で品質向上に取り組む

コンピュータ制御の糸綴機。近々、同機種をもう一台導入する予定があり、さらに迅速な業務体制が整う。

コンピュータ制御の糸綴機。近々、同機種をもう一台導入する予定があり、さらに迅速な業務体制が整う。

 手作業の時代から地道に信頼を築き上げてきた同社は、技術力にも自信を持つ。それを裏付けるように、全国造本装幀コンクールにおいて、昭和54年(1979年)と平成8年(1996年)に「日本書籍出版協会理事長賞」を受賞している。
 設備機器やラインを拡充し、人手をそれほど要さない効率的な業務体制が確立した今、同社が強く志向しているのは、設備類が高性能であるために起こり得る「不注意」や「油断」の徹底排除である。上製本の量産体制構築を機に、乱丁や落丁などのミスを未然に防ぐための話し合いを行う「全体会議」の場を設置した。築き上げてきた信頼と実績をさらに育むために、これからもより一層、品質向上を図っていく方針だ。

【技術者 INTERVIEW】
受注を拡大することより品質管理の徹底を優先に考えています

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<<営業部 部長 石田 雅巳さん平成2年入社>>
 東京の大学を卒業後、名古屋の製本会社に勤めて製本業務を一通り覚え、父が経営する当社に営業担当として入社しました。お客様の要望に沿ってまずひな型を作り、細かい意見を聞き入れて案を煮詰めていきます。いつも目標にしているのは要望を100%達成すること。それにはお客様との綿密な打ち合わせに加え、現場とのコミュニケーションも重要です。何を求めているのか正確に現場に伝わり、要望通りのものが完成した時は喜びもひとしおです。当然、一番の注意点は、ミスを出さないことです。信頼の上に成り立つ仕事ですから、受注を拡大する前に、徹底した業務管理・品質管理を行うことが優先だと考えています。機械の性能がこれだけ向上すると、えてして機械に任せ切りになりがちですが、機械に使われるのではなく、機械を使うという意識で気を引き締めて業務にあたるよう注意を呼びかけています。

企業データ
会社概要

創業/昭和11年(1936年)10月
設立/昭和37年(1962年)9月
代表者/代表取締役 石田 誠
資本金/300万円
売上高/約3億円(平成16年度)
従業員数/23名(平成16年12月1日現在)

事業内容

製本業(書籍上製本、雑誌、ダイアリー、手帳その他)

(『札幌の技術2005年ものづくり編』掲載)