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札幌の元気企業

株式会社イーベック(『札幌の技術2005年情報・バイオ編』掲載)

代表取締役社長 土井 尚人 氏

〒060-0042
札幌市中央区大通西5丁目8番地 昭和ビル8階
TEL(011)231-1782 FAX(011)231-8884
URL http://www.evec.jp/(新しいウィンドウが開きます)
代表取締役社長 土井 尚人さん

代表取締役社長 土井 尚人さん








北海道大学発の世界レベル技術で
抗体医療界のインテル(心臓)を目指す 

世界的な競争が展開される抗体医薬市場

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 生物の体にウイルスや細菌、植物の花粉などの異物が入り込むと、体内の免疫機能が働き、これらの異物に特異的に結合するタンパク質が合成される。「抗体」と呼ばれる生体防御反応の最も重要な働きだ。そして、この抗体を人工的に作り、特定のウイルスや細菌などを攻撃し、薬として用いるのが抗体医薬である。
 現在の一般的な抗体の製造方法はマウスを用いた「ヒト型抗体」だが、人体内と異なる過程で作るために人間のアレルギー反応を完全に避けるのは難しく、薬効を得られない場合もある。また、特許の大半は欧米の製薬会社が保有しており、薬として使うには高額なロイヤリティー支出を伴うという問題も抱える。それに対し、ヒトのリンパ球から作製する「完全ヒト抗体」は、副作用が少なく、効能も高いため、感染症、ガンなど様々な疾患に対しての効能が期待され、今後開発が激しくなることが予想される分野である。

世界初を実現した技術力に高まる期待

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 こうした抗体製造に関する問題を解消すべく、北海道大学遺伝子病制御研究所は長年続けてきたEBウイルス(人体内で抗体を作り出すBリンパ球を無限増殖させる特性をもつウイルス)の研究を基に、欧米の特許に依存しない純国産「完全ヒト抗体」作製技術の開発の成功を世界で初めて発表し衝撃を与えた。
 そして、同技術の実用化を目的として、北大遺伝子病制御研究所・高田所長をはじめ、北大大学院医学研究科、小樽商科大学ビジネス創造センター(CBC)、株式会社ヒューマン・キャピタル・マネジメントの産学官連携で設立されたのが北大発ベンチャー・株式会社イーベックである。
 完全ヒト抗体は、異種動物由来の抗体とは異なり副作用がなく安全である。同時に純国産技術による生産コストの大幅な引き下げと医療費の低減が可能であり、同社には国内の大きな期待がかかる。

産官学による医薬基幹産業クラスターの創生を

 現在、イーベックは大手製薬会社や研究機関とアライアンスを組んで、各種抗原に対する「完全ヒト抗体」の受託開発を進めている。既に感染症やぜん息などに効果のある2種類の抗体(サイトメガロウイルス抗体、GM-CSF抗体)の開発に成功した。
 今後は、抗体開発とその有効性確認を自社の技術領域として特化し、製薬会社からの委託開発をビジネスモデルの主軸にすえる。抗体医療の幅広い導入が世界的に進むなかで、顧客のニーズに応える安定的な抗体の生産・供給が「鍵」となるが、同社では、開発した完全ヒト抗体技術を活用し、北海道で様々な疾患に対する抗体を作製することを当面の目標においている。また同時にアライアンスを強化し、抗体の大量生産システムを北海道で実現することの支援も狙う。

【TOP INTERVIEW】
グローバルニッチを見据え「勝てる土俵で勝つ」

<<代表取締役社長 土井 尚人さん>>
 ベンチャー企業のインキュベータ-である株式会社ヒューマン・キャピタル・マネジメントの立場からイーベックに関っていましたが、経営戦略の明確化が不可欠と判断、代表取締役を引き継ぎました。まず収益モデルとマイルストーンを確定して、いわゆる「死の谷」を回避、資金の早期回収を可能にしました。また、事業化の初期段階は、比較優位の高い抗体作製技術に会社の資源を集中することにしました。おかげさまで現在、当社の技術は高い評価を市場から得ており、事業の展望も大きく広がってきています。

企業データ
会社概要

■設立/平成15年(2003年)1月10日
■代表者/代表取締役社長 土井 尚人
■資本金/1億200万円
■従業員数/8名
〈研究所〉
■札幌ラボ
 〒062-8517
 札幌市豊平区月寒東2条17丁目2-1
 独立行政法人産業技術総合研究所内

沿革

□平成15年01月 株式会社イーベック設立(資本金1,200万円:1株=1,000円)
□平成15年04月 経済産業省の地域新生コンソーシアム研究開発事業に採択
□平成16年06月 2種類のヒト抗体(サイトメガロウイルス抗体、GM-CSF抗体)開発に成功
□平成16年10月 札幌ラボを産業総合技術研究所北海道センター内へ移設・拡充
□平成16年11月 増資(資本金1億200万円)。JAFCOから1億2,000万円受入(1株=10,000円)
□平成16年12月 NEDOの産業技術実用化開発費助成金に採択される。

事業内容

EBウイルスを用いたヒトモノクローナル抗体の開発

開発実績・主な製品

純国産「完全ヒト抗体」作製技術の開発

(『札幌の技術2005年情報・バイオ編』掲載)