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札幌の元気企業

山小 小林食品株式会社(2011年2月取材)

代表取締役社長 小林秀雄 氏

〒001-0012
札幌市北区北12条西2丁目2番29号
TEL(011)716-0510 FAX(011)716-0640
URL http://www.yamako.biz/(新しいウィンドウが開きます)

社屋

変化への対応力を磨いて・・・創業から50年

世に企業寿命30年説がある。起業して30年も経つと経営環境の変化について行けず、事業の継続が困難になる業態が多いことから生じた一説である。山小小林食品㈱は、現社長の小林秀雄氏の実父が起業し、昭和36年に法人成りして以来、今年で50年を迎える珍味業界の老舗である。企業寿命30年説をまったく感じさせないが、その業歴を辿ると、正に経営環境の変化に対応し、巧みに業態変化を遂げてきたと見ることが出来る。即ち、同社のメーカーとしての創業は、留萌郡小平町で当時大量に獲れた青柳貝を現在の本社所在地で加工し、東京の築地市場の仲買人相手に卸したのが始まりである。青柳貝を桜貝と商標登録して始めたのである。事業は順調に伸長して行くかに見えた。ところが、10年程で同業者の参入と原料貝の不漁により先細りとなったのである。そこで新たにイカの加工に転身、道産原料だけでなくペルー産、中国産等の原料も確保しつつ、道内の加工工場と提携して商品の種類を増やしていった。

ちょうど国内経済は、高度成長期から安定成長期に有り、作れば売れた。販路も卸業者との取引により道外での販売に重点を置いたのも奏功した。しかし、同社では、そこに安住するのではなく常にオリジナリティーのある次の商品を模索し、鮭、昆布、シイタケ、帆立等々と新たな原料を見出すと共に道内の同じ志の生産者とのパートナーシップを作り上げていったのである。その姿勢は、二代目現小林社長の代となってより鮮明となっていく。

小林社長は言う。「子供の頃、自社の近くには多くの同業者があったが50年経って振り返ってみると、ごく数社になっていた」と。社長が実父から正式に経営を引継いだのは平成17年3月。それまで実父の経営振りをそばで見てきたので、商売の変化には敏感だ。変化のスピードは上がっている。しかしそれに対応しなければ事業を継いだ意味が失われる。「この不況下で苦しいけれど、新たな喜びも多い」と語る小林社長の顔は輝いている。

【製品群】

新パッケージ トロロ ふりかけ

▲新パッケージ製品                ▲ガゴメ入り一食タイプのトロロ昆布等                    ▲新製品のふりかけ

同社のこだわり「道産原料・無添加」

現社長には、心がけていることがある。それは、生産者との密接な信頼関係の構築である。現在自社での加工は最終仕上げが主で原料の前処理は道内5社の所謂産地工場に依頼しているが、安定生産のため年間契約による委託を守っている。それ以上に重視し、実行されていることがある。漁師の方との関係強化だ。購入条件を良くしただけでは品質が良くて、安心な原材料が入手できる時代では無い。

下の写真は、南茅部町の昆布漁師中村さんとの一コマだが、良質な昆布を生産する苦労を体験しようと早朝午前3時から漁師さんと作業を共にし、同社の姿勢と意欲を伝え、求める原料の確保に努めている。他の原料でも同様である。

最近のマーケットは大きく変わっている。豊富な食材の中で、どうすれば消費者から選ばれるかを意識した戦略を取らなければ生き残れないとの認識だ。そのために、安心・安全で良質な道産原料を使い、極力無添加での加工にこだわること、素材本来の味にこだわること、パッケージや分量にも工夫すること等々を実行している。「道産原料・無添加」は、こだわりであり、昆布のダシ、椎茸のダシ、鮭のけずり節、サンマの魚醤油を利用しての味付けをしているが、これは嗜好を捕えた工夫である。パッケージ、分量の工夫は更なる消費者目線での発想と言えよう。

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▲昆布漁師の中村さんと

これからの経営戦略

消費マーケットの変化に対応し販路を拡げるため積極的に道外での商談会に参加している。これまでは卸業者が主体の商談会への参加であったが、消費者向けの商談会へも参加し、消費者へのマーケティングや商品提案での販路構築を狙いとしている。ただし、商談会参加は糸口確保が目的で、終わってからのアプローチ商品開発に重点を置くのが同社の営業方針である。

このところのデフレ基調で、価格面は厳しい要求が多いが、小林社長は「価格競争はしない。品質と味で独自性の高いものづくりでオンリーワンを目指す。」 リピーターが多い同社の実績が言わせる言葉である。

同社にとって最大の問題は温暖化等による原料の不漁である。イカ、鮭、帆立、昆布がまさにこの状態になっており、小林社長の最大の心配事である。マーケットの変化に対応し、購入層を考えた加工、パッケージの工夫等を行ってきたが、そのために専門のマーケティング会社の協力を仰ぎ、東京での新たなコンサルタント型販売業者との連携を築いている。因みに後者との関係では、東京駅南口に設けられたエキュート内で販売もされている。味付け、パッケージ、デザイン変更、さらに分量を1回での食切りサイズとしたのも定着化した要因と分析している。

従来、珍味と言えば、親父族の食べ物であった。しかし、それではジリ貧になると、購買層の拡大に焦点を当てているのもこれからの注目点だ。購入層の拡大戦略は、若手女性層、中高年女性層へ、さらには海外へと拡がる。そのために、これまでの珍味のイメージを根底から変えていこうと製品開発に取組む小林社長の意気込みは益々盛んである。

又、新製品で今年から発売したなつかしくもまったく新しい食感のふりかけがある。ふりかけと言っても、道内の希少なガゴメ昆布やねこ足昆布を主原料に北海道立総合研究機構の協力で出来上がった知床羅臼産の「鮭のけずり節」等を使用したもので、この手造り感が消費者からの好評価を得ている。

「我々道内の中小企業のやるべき事はそれぞれの技術や経験を生かし、強いパートナーシップでこの不況を乗り越えて行くことである。中小企業は決して価格競争等にまきこまれてはいけない。互いに協力し合う事や良きパートナーシップとの連携で自社だけではコストがかかる為あきらめていた商品開発も可能になると思う。」と小林社長は言う。

(2011年2月4日取材 )

企業データ
◆会社概要

創業/昭和34年(1959年)

設立/昭和36年(1961年)2月

代表者/代表取締役 小林 秀雄

資本金/1,000万円

従業員数/30名 (2011年2月現在)

◆沿革

昭和34年  小林商店 食品卸問屋として創業

昭和36年  資本金100万円にて、法人に改組

昭和40年  海産珍味発売開始、珍味桜貝製造開始、海産珍味メーカーとして営業開始

昭和42年  道内の各水産加工工場7社と、提携開始

商品のギフト化、家庭用、観光用、業務用向け提案開始

昭和49年  社屋新築、資本金400万円に増資

昭和54年  東倉庫新築、資本金600万円に増資

昭和55年  道内産昆布発売開始

昭和56年  資本金1000万円に増資

昭和57年  乾燥キノコ発売開始

昭和58年  道内産海藻類発売開始

昭和61年  製品の新長期保存包装開始

平成元年   新社屋ビル建設

平成2年     乾燥キノコ類輸入開始

平成8年   道内産珍味輸出開始

平成15年  無添加珍味発売開始

平成17年  IT事業部発足

平成18年  郵政ふるさと小包事業開始

平成20年  札幌商工会議所「北のブランド」認証

平成23年  ガゴメ昆布、ねこ足昆布、鮭けずり節等を主原料の新食感ふりかけの発売開始

◆取引先

伊藤忠食品(株)

国分(株)

(社)札幌物産協会

(株)成城石井

(株)五味商店

北海道旅客鉄道(株)

(社)北海道貿易物産振興会

(株)北海道百科

◆商品開発に協力していただいた団体、企業、個人

北海道立食品加工研究センター 食品開発博士 阿部 茂 氏

北海道フードマイスター・管理栄養士  小山 奈緒美 氏

商品開発アドバイザー 白田 典子 氏

根室水産工場社長  新保 陽一郎 氏

尾札部昆布生産加工企業組合

札幌 昆布加工技術者  石田 順也 氏

小樽 水産工場社長  菊地 秀一 氏

札幌 マーケティング会社  阿部 博彦 氏

北海道教育大学岩見沢校 美術科  滝ヶ平 真悠 氏

北海道札幌平岸高等学校 デザインアートコース  小林 彩乃 氏