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札幌の元気企業

株式会社 パイオニアジャパン(2012年8月取材)

代表取締役社長 上田 琢巳 氏

代表取締役社長 上田 琢巳 氏
〒003-0873
札幌市白石区米里3条3丁目5番27号
TEL(011)879-8102/FAX(011)879-7788
URL http://www.pioneer-j.co.jp/pioneer-japan/index.htm(新しいウィンドウが開きます)
代表取締役社長 上田 琢巳 氏

本社社屋

惣菜の総合メーカーを目指して設立

㈱パイオニアジャパンは平成2年3月に現会長山道勝則氏によって設立された惣菜メーカーである。今日、家庭で料理せずとも食せるあらゆる種類の惣菜(おかず)が百貨店、スーパー等の食品売り場で売られていると言って過言ではない。これらの製品は、食品加工工場で加工され、あるいは半製品として加工され売場で最終の加工を行い、家庭でそのまま食することの出来る製品として販売されている。
しかし、同社設立当時には、工場で加工された食材で、そのまま食すことの出来る惣菜と言えば、かまぼこ、佃煮等に限られていた。山道会長は海外でのスーパーの惣菜売場を視察し、その品揃えに驚くと共に日本にもこうした業態に対応できるメーカーが必要になるとの認識を持ち事業化を目指したのである。以来22年、現在では、ミート惣菜、カット野菜、フレッシュサラダ、温野菜類を道内の有力スーパー、飲食店向けに供給する惣菜メーカーとして知られている。組織体制としては同社を総括兼販売部門とし、製造部門として肉製品を手掛ける㈱コスモジャパンと野菜製品を手掛ける㈱まんゆうを、さらに自ら農地を持ち、生産履歴が直ぐに分かり、生産から安心・安全を『見える化』する為に設立した農業部門・農業法人㈱やま道の里を擁する4社体制で惣菜の総合メーカーとしてのグループを形成するに至っている。
現在、二代目社長として上田琢巳氏が就任するとともに、平成24年2月には野菜部門の工場拡充を図るため本社工場を小樽市銭函から札幌市白石区米里に移転、生産体制の充実が図られている。

未利用資源の活用に挑む・・・農商工連携へ

北海道は食材の宝庫と言われて久しいが、惣菜を含めた食品加工のレベルは、まだあまり高くはない。未利用の水産資源やいわゆる規格外野菜の存在は広く知られてはいるが、その利用となると有効な手立てがなかなか確立されていないのが実情である。
同社では、惣菜メーカーとしての地位を築く過程で、未利用資源を何とか製品化し付加価値を付けることが出来ないものかと考えた。食材原料の調達のため接することとなった道内各地の産地の方々との出会いによって触発された考えである。

製品化に取組み成功した資源がある。その一つが厚岸郡浜中町にある浜中漁業協同組合と協力して取組んでいる「日帰りサンマの蒲焼」である。この製品は、浜中漁業協同組合にシーズン中毎日水揚げされる小型のサンマを加工したものであるが、このサンマは魚体が小さいため鮮魚としては製品価値の少ないものである。これを産地で開きに加工した後、当社の加工技術で蒲焼として加工することにより製品化したのである。現在コープさっぽろのトドックにて販売されている。

もう一つは、稚内市所在の稚内機船漁業協同組合と協力して取組んでいる「大女子(おおなご)」の加工品である。「大女子(おおなご)」は一般的に食卓に供されることがなく、主にハマチ等の養殖魚の餌として出荷されているものであるが、脂の乗った栄養豊富な魚のため、加工して食材とすることに取組んだ。「大女子(おおなご)」は、痛み易く、脂のにおいが強いため定温で管理する必要が有る等実際の取組みに当っては、困難な点の多いものであった。これを稚内機船漁業協同組合と地元の水産加工業者と連携し、獲った船内での鮮度管理、水揚げした即日の開き加工、凍結加工等の方法により解決、同社の加工技術により、蒲焼、フライ、一夜干し等の製品が完成し販売されるに至っている。北海道物産展で販売されている他、弁当用惣菜等として利用されている。以上の実例は、まさに農商工連携の典型と言えるものであり、産地とメーカーとの有機的かつ密接な役割分担が機能して実現したのである。なお、後者は、平成21年度国の農商工連携事業として採択されている。

▼日帰りさんまの蒲焼                ▼おおなごのフライ
日帰りさんま おおなご

規格外野菜の付加価値向上にチャレンジ・・・過熱水蒸気技術の確立と普及に向けて

北海道はわが国最大の農産物生産地である。因みに身近な食材として知られるジャガイモ、タマネギ、カボチャ、ニンジン等は生産高日本一の農産物である。しかし、一方これらの農産物はサイズ、色、形状によって規格外とされ市場取引の対象とならないものも多く生じており、同社ではこうした規格外農産物の利用についても付加価値を高めることが出来ないものかと考えてきた。
そうした中で過熱水蒸気技術があることを知り、その利用に踏み切ったのである。
この技術は、100℃以上の状態にした超高温水蒸気を利用したもので、素材のうまみ、色合い、栄養分を逃がすことなく「焼く」、「蒸す」の加工と乾燥・殺菌ができる処理システムである。設備導入後、技術の確立に試行錯誤してきたが、北海道立総合研究機構食品加工研究センターの協力を得て課題を解決し技術を確立しつつある。
現在、この過熱水蒸気技術により作られた農産物素材製品として「野菜のピューレ」がある。野菜をピューレに加工することは、従来から「加熱処理」により行われてきたものだが、一般的な加熱処理ではアミノ酸や糖分などの栄養分がドリップとなって流出してしまうし、色合いも悪い。過熱水蒸気技術を用いることにより素材の酸化や劣化を抑えた成分保持性の高い(注)、色合いの良いピューレを作ることができる。同社ではこの点を利点としてあらゆる野菜や果物のピューレ加工技術の確立に取組むとともに、この他、惣菜用に利用できるブロック加工した野菜素材品も製品化している。

   (注):同社の野菜ピューレについての成分保持性の分析については、北海道大学遺伝子病制御研究所、西村孝司教授の研究に基いている。
因みに、このピューレを利用した食品としては、パン、ジュース、アイスクリームがあり、同社では麺、お菓子類等への利用等用途の拡大に努めている。
過熱水蒸気技術を利用した食材加工は、道内では実は一部水産加工業界等で利用されているものである。今後、野菜や他の食材での利用拡大が望まれるところだが、設備導入費用も安くは無いため普及は進んでいない。そこで、同社が一役担っている。
それは、平成24年度、北海道科学技術総合センターが過熱水蒸気技術の普及のため「試作・実証ラボ」を開設することとなり、同社がその機能を果たすことになったことである。
これは、過熱水蒸気技術を利用して食品開発を希望する企業が、同社の設備・技術を利用し、試作することが出来る制度である。
北海道の産業振興を担う機関の後押しを受け道産食材の付加価値向上に挑む同社の今後の展開に注目したい。

▼野菜のピューレを使ったドリンク                ▼過熱水蒸気加工ピューレ 過熱水蒸気加工


企業データ
◆会社概要

創業/1989年6月
設立/1990年3月
代表者/上田 琢巳
資本金/1,000万円
従業員/12人(グループ 140人)

◆沿革

2009年3月 「日帰りさんま蒲焼」販売開始
2009年5月 ㈱まんゆうに過熱水蒸気の最新機器を導入
2009年8月 「大女子(おおなご)の蒲焼」販売開始
2012年2月 ㈱パイオニアジャパンと㈱まんゆうが小樽市銭函から札幌市白石区米里に移転

◆主な仕入先

農家
㈱ニチレイフレッシュ
ホクレン農業協同組合連合会
米久㈱
浜中漁業協同組合
中野水産㈱
日本食研㈱

◆主な販売先

イオン北海道㈱
㈱イトーヨーカ堂
マックスバリュ北海道㈱
㈱日本一
三菱食品㈱
日本アクセス北海道㈱
㈱ニチロ畜産
ぎょれん綜合食品㈱
㈱カクヤス

(2012年8月取材)